花鳥風月

〜日々を彩る風鈴花の365日〜

小さな音楽会〜シネコヤ〜

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ショーウィンドウのストーリー性ある飾り付けを発見するのは、散歩している時の、ささやかな楽しみの一つでもある。

年代を重ねた重厚感のある響きが聴こえてきそうな雰囲気だなと思いながら茶色のピアノだけに意識が集中してしまい、左横にある、小さな小さな銀色のピアノには写真を撮った後に気が付いた。何とも憎らしい演出で粋ではないか。この銀色のピアノが一つのアクセントになって、全体の引き締め効果を担いつつも店主の想いがそこに垣間見えるような気がしてならない。

茶色は、人と人との温もりや伝統、格式といった歴史を感じさせる。一方、銀色は、洗練された都会的イメージでシャープさがあり、金色と比べると外見的な派手さよりも、内面的な充実感、落ち着いた理知的な輝きを放っていると言える。若さや感情的に燃えるようなものではなく、熟成された芯の強さを持って静かに燃える炎といった感じがある。

この2台が、同じ大きさの物で並べられていたら赴きが異なる2台ピアノの演奏会となり、ありふれた画となってしまうが、茶色がメインで銀色が小さく添えられている事で、理性的で芯を持った人と人との交流によって受け継がれていく温もり、そのハーモニーがテーマとなっていることが自然とクローズアップされるのである。

これから寒さが身に染みる時期であるが、扉の向こうで、パンやコーヒーなどを片手に映画鑑賞をしながら、3000冊の本に囲まれ思い思いの時を過ごし、集う人との交流を通して心に灯す温もりを感じてみては、いかがだろうか。

商店街に、ひっそりと佇みながらも地域に溶け込んだ街の映画館、鵠沼海岸駅から徒歩で3分程の「原点回帰」という言葉が似合いそうな、シネコヤ前からお送りしました。

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