花鳥風月

〜日々を彩る風鈴花の365日〜

箱根サイクリング その一

箱根サイクリング

「箱根パーク&サイクル2009」のキャンペーンがあると知り、

たまには趣向を変えサイクリングを楽しんでみようと思い

普段、ペダルに足を乗せないどころか自転車を持っていない私が

無謀にも挑戦してきた、サイクリング記録です。

こちらは2009年、前ブログで記したアンコール記事となります。

 

箱根サイクリング当日は早朝3時30分過ぎに起床。

早めの朝食を取り、いざ始発電車に乗るべく駅へ。

今日は日帰りの観光。連泊して満喫したい気持ちは

次の機会へと取っておくことにした。

普段ならタクシーを呼ぶ時間ではあったものの歩きたくて歩いてみる。

星の瞬きが鮮明なほど真っ暗な空を仰ぎながら、静けさの中に足音が

途切れること無く響いて行く。思っていたよりは寒く感じず

ひんやりと澄み切った朝の空気は心を引き締めてくれるようで

何とも良いものだ。自分ひとりだけの空間と化しているような道で

黙々と歩いていると、雑誌らしき物を片手にジャンパー姿の比較的

若い男性、帽子を被り自転車に乗った若めの男性、下を向き競歩

している年配女性、何やら楽しそうに会話をしながら散歩している風の

熟年カップル、新聞配達のお兄さん、と意外とすれ違う人の多さに

驚きながら、あっという間に駅へと到着した。

 

改札を通ろうとして、ふと気付く券売機の販売中止。

まだ作動していなかった。針は四時半を指していた。

恐らく人生初であろう始発電車は、取り立てて述べるまでもなかったが

爽やかな朝のはずが残念ながら気が淀んでいた。早朝からハイテンション

というわけにもいかないだろうが、眠そうというよりも大半は疲労感を

漂わせている。街中の駅には、酔っぱらいのカップルや若い男女が数名

いて、これも青春というべきだろうかと苦笑しつつ、何故か

『蛇とピアス』の世界が浮かび、「何か」を求め彷徨っている若者達

だろうかと思ってみたりもした。

 

そうこうしているうちに白々と夜も明けて行き、新宿へと到着した。

今日は初めて新宿から高速バスに乗車することにしてみた。

前日までに予約をしていなかった不手際を補うべく、一番乗りで向かった

先の案内所は、7時から開店とあり間に合わない。ロマンスカー乗り場も

まだ開いてはいない。駅員の姿も見当たらない。暫く駅をウロウロし

悩んだ末に、運転手から切符を買おうと決め乗り場に立つ。

時間が経つにつれて、バス待ちの列はどんどんと伸びて行った。

カップルやグループ、年配の男性がほとんどである。乗れないかな

と不安を覚えながらも待ち続けていると、バスより先に足元に鳩が勢い

良く飛んで来た。大抵が無関心を装っているが、執拗に足で追い払う

男性もいた。「鳩も生きづらい世の中になったわね、ねぇ、鳩山さん。」

と心の中で呟いてみるも、キョトンとした顔を向けてくる鳩は

ポーカーフェイスなのか淡白系なのか、鳩よりも烏の方が実は

表情が豊なのではと感じたりもした。