ああ、お団子!
「綺麗な夕日ね。」との言葉が行き交う、夕暮れ時にさしかかった
ある日の声楽のレッスン時の休憩中に「ああ、私、みたらし団子が
食べたくなっちゃったわ。」と溜息混じりに呟いた人の声を私の耳は
聞き逃さなかった。艶かしさも感じられないストレートに響いた
その声に苦笑しながらも、正にオレンジ色に輝く眼前の
まん丸の太陽は確実に、みたらし団子へと変わっていた。
そしてその瞬間、私の脳は自然と、みたらし団子を思いっきり
味わっていたに違いなかった。2日後に偶然通りがかった店先で
目に飛び込んできた、みたらし団子はその時の夕日と重なり
その後、私に丸々とした満足感を与えてくれたことを思うと。