花鳥風月

〜日々を彩る風鈴花の365日〜

お母様の小言

それは、エレベーターでの出来事だった。

小学校低学年と思しきランドセルを背負った女の子と

その母親がエレベーターに勢い良く滑り込んで来た。

母親の開口一番の言葉に一同、下を向いて噴き出す。

「〇〇、疲れた、疲れたって、口に出して言ったら

駄目だって、何度も言ってるでしょ!もう言わないの。

口に出したら、余計疲れるんだから!わかった?」

 

私は心の中で、つぶやいた。

 

キリキリ声で話すお母様の声を聞く方が疲れを感じるのでは。

 

確かに言霊で、口に出さない方が良い場合もあるけれど

小学生が素直に伝えてくることに対し、「駄目」という

否定形ではなく、別の言い方があるのではないかしら、と。

 

駄目という言葉を使わずに、「つかれた」と訴える娘さんに

まずは、ねぎらいの言葉をかけることから始めてみてはどうだろうか。

「今日も一生懸命(精一杯)頑張ったのね。」「偉いわね。」

そして、そこから提案形で話しかけてみてはどうだろうか。

「これからは、疲れた、の代わりに『ママ、今日も頑張ったよ。』

って言ってみない?その方が素敵よ。

ほら、疲れたー、って言うよりも、頑張ったーって言った方が

気分は上向きになるでしょう?パパが帰ってきて

『〇〇、パパは疲れたー』って叫ぶのを聞くより

『〇〇、パパも頑張ってきたぞー』って言って

くれた方が、何だか気分が良くない?これからは、そうしましょうね。」

 

何気ない一言に、子供は簡単に傷つきもし、多くを学ぶものだと思う。

親子から素敵な会話が聞こえてきたら周囲にも幸せな微笑みが広がる。