笑う光と風と
まるで、光も花となり、ともに笑っていた。
風は傍らで、力強さを増してきた陽射しに
負けない程の勢いで春の調べを奏でていた。
小さな花も精一杯顔を出して、笑いあっていた。
枯れ草の中から顔を出していたタンポポは、やはり
特別な存在感で見つめてきた。同じ目線で空を眺めた。
青い空。その大海原に、幾重もの花びらを踊らせて
いるように見えた。まるでイソギンチャクだと思う。
そして帰り際にはやはりまた四葉が手を振っていた。
そういえば不思議な夢を見た。遠く空を眺めている私に
見知らぬ男性が横で呟いた。「富士山は、いつだって
どこでも見えるんだよ。ほらね、そこに見えるだろう?」
私は、「えっ?霞んでいて見えない・・・あ、見えた!」
春霞の中で霞んでいた雄大な美しい輪郭は、しっかりと
威厳を持って目の前に現れていた。いつでもそこにある。
四葉のクローバーが、「見えていなくても幸せはいつも
そこにあるよ。自分自身の目の前に」と笑いかけていた。