5年ぶりに開催の鎌倉花火大会へ。
江ノ電に6時過ぎに何とか乗車する。
短くコンパクトな車内へと雪崩れ込む
人、人、人。満員の通勤電車のような
殺人的な混雑に車内へ踏み込む一歩を
躊躇していると、老婦人が「早く」と
私の腕を掴み、遠慮なく車内へと
押し込んでくれた。扉が閉まりそうで
閉まらない。その間も、乗り込もうと
する人でホームは殺気すら漂っていた。
駅に停車する度に、悲鳴が響く。
無理だと思いながらも、僅かな隙間を
目掛け殺到してくる人の嵐は、最早
限られた空間という名の恐怖でしかない。
このまま押しつぶされるのでは、という
久々の恐怖と痛みと、冷房が効かない程の
人の熱風による暑さで、疲労感、悲壮感は
ピークに達しようとしていた。渋滞、混雑は
都会に住む者なら当然のつきものである
としても決して慣れることはない。
目的地への到着に救われた気持ちになりながら
海岸沿いへと足を運んだ。すでに、花火を
待ちわびる人で砂浜は埋め尽くされていた。
打ち寄せる波に、そのうち、さらわれるのでは
と思われる程のギリギリの距離に場所を取り、
黄昏時の海辺を暫しの間、無心で楽しんだ。
海辺の花火は波の音をBGMに出来、
水面に映る色合いとともに、視覚、聴覚、
両方を存分に楽しめていい。特に今回は
月が出ていたため、海と月と花火との
三拍子で楽しめることが出来て最高であった。
花火が終わった途端に、現実に引き戻される。
帰りは、どうしよう。
再び、行きのような殺人的な車内へ乗り込む
気持ちにはなれず片瀬江ノ島駅まで歩くことに。
一時期、登山で鍛えていたこともあり
歩くのは何時間でも苦にはならない。
漆黒の海に月明かりの煌めきが拡がるのを
見ながら、花火を見た高揚感のまま
ひたすら歩き続けた。
夜間、ライトアップされた片瀬江ノ島駅は
竜宮城感がアップして綺麗だ。
時刻は既に9時半を回っていた。
花火大会が平日であったので翌日は仕事。
竜宮城をくぐり電車に乗れば暫し夢の中。
目覚めた時に自宅が目前であってほしい。
おやすみなさい。